結婚のこと

 

 

結婚したら凄く楽しいので皆したらいいと思う。以上。

 

 

 

いや、言いたいことは本当にそれだけなんですけど、折角なので自意識を完全に拗らせて少し書いてみたいと思います。

結婚は何故楽しいのかについて。或いは結婚して僕が得たものについて。

 

ああ、先に言っておきますが、僕の妻の話は殆どしません。飽くまで僕自身の、長くて退屈な話です。

 

 

さて、そもそも結婚ってなんなのでしょうか。といっても、なにも難しい話をしたい訳ではありません。ただ、「結婚」と言ってもいくつかの側面があるので、一言で言えば何だと思いますか?という話です。

 

結婚する前は、僕は「好きな人と一緒に暮らすこと」だと思ってました。でも今は少し違います。

今は結婚とは「好きな人と“家族”になること」だと思ってます。この“家族”というのが重要で、僕ははっきり言って結婚する前はこのことをすっかり失念してたんですね。もっと言えば、家族という概念をよく分かっていなかった。

 

 

結婚して妻と一緒に暮らす中で、僕は初めて家族の温もりというものを知りました。家族とは温かいものだって、知識として知ってはいました。でもそれを自分が実感したことはなかった。

というより、自分がその温もりを知らないことを知らなかったんです。元から持っていないものは、自分が持っていないことにすら気付けない。

 

 

 

 

とまあここで僕が生まれ育った家族の話になるんですけど、例えば僕と両親の関係が良くないとか恨んでるとかそういう訳では特にありません。

両親は共働きだったので家でひとりで過ごす時間は多かったけれど、別に暴力を振るわれたこともないし食べるものに困ったこともない。習い事だってさせてもらった。嫌な言い方かもしれないけど、ごく普通の家に育ったと思います。

 

ただ、なんというか、僕が家族の誰とも気が合わなかったんですよね。物心付いた時から、ずっと。気が合わないから話もしない、ご飯もひとりで食べる時も多く、食べたらすぐに部屋に戻る。

これは本当に、両親が悪い訳でも僕が悪い訳でも恐らくなくて、ただただ“気が合わなかった”としか言いようのないことだと思います。

  

 

なので、結婚しても別々の部屋でお互い好きなことして過ごすのかなくらいに思ってたんですね。

じゃあですよ。まさかこの僕が「ひとりでご飯を食べても美味しくない」って思う日が来るなんて。別に一緒になにかする訳ではなくても同じ部屋にいて、話し掛けたら返事があるということがこんなにも人の心を安らかにするなんて。

 

これが家族で、結婚とは家庭を築くものだと僕は結婚して初めて気付いたんですね。で、今胸に流れている感情が“愛”だとも僕はその時に知った。

僕は愛を知らないまま(そして自分が愛を知らないことを知らないまま)育ってしまったけれど、そんな自分でも愛を手にすることが出来た。

 

 

なので、ここで冒頭の言葉が来るんです。多分世の中には、様々な事情で家族というものにポジティブな感情を持てなかったり、僕のように家族というものがよく分からない人がきっといると思うんです。僕は僕が特別だとは思えないから。

 

だからこそ、そういう人に向けて、凄く上から目線で傲慢で優越感に浸りきった言葉であることは承知の上で最初の言葉を言いたかったんです。

 

 

『結婚したら凄く楽しいので皆したらいいと思う』と。

 

 

 

それは、なにかを取り戻すものになると思うから。